レイヴァルト家

不定期更新。ネタバレ&妄想だらけなので閲覧の際はご注意を...

また会える日まで



※初期国民の寿命ネタバレを含みます!































朝起きると何やら家の外が騒がしかった。
何事だ…?まだ朝一刻だぞ…
様子を見に行こうと鎧に着替えているとステファニーが慌てた様子で駆け寄ってきた。

「ジュリ君、大変!」

「陛下が危篤だって…!」


……………………………………え?
危篤?
頭が真っ白になり何も考えられなくなる。
嘘だろ…昨日まで元気にしてたのに。


親友でありこの国の王であるジェイソン・ブフナー。
最近は一番仲が良くて 毎日陛下から会いに来てくれていた。よく酒場で一緒に食事をした。
つい先日 陛下の妻レナさんが亡くなって寂しそうにしてたけど…

数年前にもう長くない気がする、と言っていたけど それからだいぶ経っても元気だったから大丈夫だと思ってたのに。

「ジュリ君、大丈夫?顔色が悪いよ…

「あぁ…陛下の様子を見てくるよ。」

俺は早く陛下のもとへ向かおうとした。
けど、手が…足が震えて動けない。
そんな俺を見てステファニーは肩を支えてくれる。

俺は深呼吸をして心を落ち着かせようとする。
…よし、行こう陛下のもとへ。

「行ってくる。」


心配そうに見守るステファニーの頭をポンと撫でてから、俺は陛下の家に向かった。


王家の居室は朝早いにもかかわらずお見舞いにきた国民で溢れかえっていた。
しかし皆 陛下がゆっくり休めるように配慮して、長居はしなかった。
だんだん人の数が減っていき、いつの間にか陛下と二人きりになっていた。


「陛下…」

「あぁ、ジュリか。来てくれてありがとうな。

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ベッドに横になっている陛下は顔色が悪く、声も弱々しかった。

「何か食べました?少しでも食べた方がいいですよ。」

「うーん...食欲がなくてね...」

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「ここに置いておくので、食べられる時に食べてください。」

「ありがとう。」


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「せっかく来てくれたのに悪いね。何だか身体が重くて起きてられなくて...」

「そんなの気にしないで...今はゆっくり休んで早く良くなって下さい。」


「ジュリとは数年前に君が移住してきたときからの付き合いだったね...」

「君がよく話しかけてくれて 嬉しかったのを覚えているよ。」

「俺こそ毎日会いに来てくれて嬉しかったですよ。」

「よく空腹でいる僕に料理を差し入れしてくれたよね。ジュリの料理美味しかったなぁ...」

「そう言ってもらえると光栄です。これからも料理作りますよ。
酒場で食事もしましょうよ。」

「そう...だな。早く元気にならないとな。」


陛下はいつもの優しい笑顔を浮かべた。
でも何故か悲しそうに見えた。

...俺はわかってしまった。

陛下がもう良くならないこと。
お別れが 近付いていること……


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陛下のそばから離れない黒い天使よ...早くどこかに行ってくれ...
陛下を連れていかないで...



俺の願いは届かず、
陛下との別れの時がきた...


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家族と神官と巫女に見守られながら、陛下は安らかな顔で息を引き取った。


「ジェイソン陛下...ありがとうございました。
奥様と末永くお幸せに...」



陛下はもういつものように会いに来てくれることは無い...
優しい顔で笑いかけてくれることもない...

俺は涙が溢れて止まらなかった。













(ジェイソン陛下が亡くなってしまいました。
二年前ほどにフラグは出てたのですが それを忘れるほど長生きしてくれました。
ジュリの一番の親友だっただけにショックが大きかったです。毎日会いに来てくれて嬉しかったし。
陛下が亡くなるとき 実際は家族が来ておらず、神官と巫女のみでした...
みんな結婚とか騎士隊に入ってて別居だったから?でも血は繋がってるんだから最期くらいはいてあげてほしかったな...寂しいよね。
葬儀については戴冠式と一緒に別の記事として上げたいと思います。長くなりそうなので..)